羽裏 おしゃれが花開いた大正時代をメインに明治から大正、昭和初期にかけて作られた羽織の裏地です。

羽裏 近代日本において、羽織の裏(羽裏)の意匠は、新時代への人々の好奇心と夢を映す重要なメディアでした。外から見えない羽裏や襦袢に贅を尽くし、おしゃれをするのは、日本人の伝統的な美意識である「いき」の精神の現れです。また多種多様な近代の羽裏の意匠からは、当時の人々の関心事に加え、技術革新の動向、消費社会の到来、度重なる戦争といった社会状況が見えてきます。

羽二重地菜果文様型友禅染裂

鹿ヶ谷南瓜、加茂茄子、大枝柿、丹波松茸といった京野菜や用名物に加えて、梨、ピーマン、百合根、冥芽、葡萄等の果実や洋野菜も加えて、とりどりの『京の実り』を描いている。模様を型で染めているだけではなく、暈しまでを型染めで行い、野菜の色に深みと厚みをもたせて質感を上手く表現している。摺りと写友禅の完成した各々の技術の調和が見られる作品。

羽二重地群鶏文様型友禅染裂

宮内庁所蔵の伊藤若冲筆「動植綵絵」三十幅の内の「紫陽花双鶏図」「芙蓉双鶏図」「群鶏図」を取材して、ほぼ原図のままに引き写しながら一幅の内に取り合わせて描いた型友禅染。若冲の筆意だけでなく、型友禅の完成された技術からも真に迫るものがある。数枚の写し型を用いて表した暈しの量感と、摺暈しの陰影の技術の調和がすばらしく、絵画のように自然な表現をし得ている。若冲の執拗にして大胆な静と動の画法が、型友禅の摺り技法と写しの濃淡の表現に通じるところがある。

見本帳 岡重が代々制作して来た友禅染の見本帳の一部です。

羽裏柄

羽裏 岡重コレクション

日本の粋と伊達 羽裏 岡重コレクション

明治大正時代に流行った羽織。当時競い合うように凝ったのが、その裏地である羽裏でした。その当時、岡重が手掛けた羽裏は、今も岡重コレクションとして500点余りが染見本帳に保存されています。風景や動植物、花をモチーフにした古典柄から、欧米の文化の影響を受けたモダンなデザイン、まだ時代を反映する戦争柄など、多彩なものでした。見えないところに凝る日本人の粋なおしゃれ心と美意識の高さ。当時の岡重コレクションをとして200点余りをご紹介しています。その当時の職人の技術の高さや、感性を是非ご覧ください。

発行所 アシェット婦人画報社
初版発行 2006年6月1日
本体価格 3,800円